2007年5月23日
生きている! レヴィンの想い

 5月13日(日)午後、千葉県東庄町の多目的ホールで、「2007・レヴィン文化財プロジェクト シンポジウム&コンサート」が開かれた。「風ロマン100人コンサート実行委員会」の主催。当初の予想をはるかに超える170人ほどの参加者で会場は埋め尽くされた。

 レヴィンこと高木昌宣さんは、無謀運転の大型トレーラーの横転事故に巻き込まれ、4年前の5月2日、26歳の若さでこの世を去った。ホームページに残された昌宣さんの詩を「かたち」にしたいというご家族の悲痛な想い。私は、縁あって本づくりのお手伝いをした。2冊の詩集は、『レヴィンの系譜』①「僕は君の月に…」、②「僕が確かにそこに在たこと」と題して2005年5月2日に発行された。

 この日は、岩田利雄・東庄町長の「東庄町の歴史と文化」の講演のあと、「レヴィンが伝えたかったこと」と題したシンポジウム。歌手の盧佳世(の かよ)さん、地元「音色の会」会長の鈴木壮夫さん、それに片桐の3人がパネリストで、コーディネーターは東庄町出身で北鎌倉湧水ネットワーク代表の野口稔さんがつとめた。

 シンポジウムで盧さんは、今後も詩集の中から、曲を作り、歌にのせてレヴィンのメッセージを伝えたいと話し、鈴木さんは、救急隊としての事故当時の様子を語り、交通事故の悲惨を訴えた。

 私は「小・中学生にふるさとの詩を創る運動を広め、詩歌のふるさとづくりを町ぐるみで」と、野口さんは、「レヴィンの詩碑の建立を」と提案し、レヴィンの詩が長く読まれ、歌われ、その想いが伝わることを願った。

 詩集の中の「かたち」「悲しみの雨の中で」「蒼い空」は、これまで盧さんが作曲して地元東庄や北鎌倉で歌ってくれた。今回の催しにあわせて、「時がたてば」を新たに作曲、初演となった。コンサートでは昌宣さんの優しさと強さ、ことばに込められた想いが、盧さんの歌声にのって会場に響いた。

 翌14日の「朝日新聞・千葉版」には、写真入りで「シンポジウム&コンサート」の模様が取り上げられた。当日取材に入っていたNHKは、5月21日夕方のニュース番組「首都圏ネットワーク」でコンサートの模様と交通事故に遭った家族の悲しみを報じた。「レヴィンの想い」はしっかりとその波紋を広げ、人々の心に響き始めている。

 5月21日の昼のNHK総合テレビの番組「ふるさと一番」で「わが町の棚田を守れ」の生放送があり、私も属しているNPO法人自然塾丹沢ドン会が取り組んでいる丹沢山麓秦野における棚田の復元活動を伝えた。奇しくも同じ日の昼と夜に私自身が関わった千葉と神奈川の、出版と市民活動の取り組みがテレビで放映された。その晩、レヴィンのお母さんから電話が入った。「友人から知らされて急いでテレビをつけました。今度からは、事前に教えてくださいね」と言われ、言葉がなかった。